蕎麦は全国で栽培されています。その中でも昔からその地域で育てられている蕎麦を「在来種」と呼ばれています。三瓶そばは在来種として位置作られ、この地域独自のそばで原種に近い特徴を持ち大切に栽培されています。明治時代に発行された蕎麦志では、全国17の産地の中の一つとして「三瓶のモノが良い」と明記され、昭和初期まで重要産物として生産が行われていた。淘汰されたと思われた「三瓶そば」は復活を遂げ、地域で守っていこうという動きが始まり、活動を続け、最近ではまた、評価が高まっています。


三瓶山では、安永2年(1773年)頃より、薬用人参の栽培が始まったと云われています。三瓶そばは初秋の朝夕冷え込みの激しい三瓶高原に適しており。肥沃地を好まないことから、林業が盛んだった昔は、山林伐採後に焼畑で栽培していました。 最も盛んだったのは、1877年(明治10年)頃、三瓶温泉に浴場ができ、入湯客の食膳に出されるよになりました。明治の後半になると、三瓶山は陸軍演習場となり、志学には兵舎が立ち並ぶなど、多くの人が演習で三瓶山に来るようになりました。多い時には6,000人もの人が寝泊まりし、訓練をしていたようです。三瓶そばは食堂で売り出し人気となリました。 戦後、食糧難の頃はほとんど各戸にそば畑がありましたが、昭和30年後半、食糧が豊かになったことや、農家の老齢化が進む中で、生産者が減少していきました。 国立公園指定の頃はほとんどが収量の多い信州のそばを使っており、三瓶在来種は淘汰されたかに思われました。 1998年(平成10年)頃から愛好家により三瓶そばの復活を目指した活動が行われるようになりました。その活動が広がりを見せ現在では、「三瓶そば振興協議会」となり、2020年には念願だった地理的表示制度(GI)に登録されるなど、三瓶そばを守る活動がますます盛り上がってきています。

守る活動
三瓶そばを守り育てようと、三瓶そばの蕎麦屋と生産者の会である「三瓶そば推進協議会」が2020年3月30日にGI認証(地理的表示システム)を取得されました。これにより三瓶の気候や風土にのもと育てられた在来種である「三瓶そば」を守られ、高い品質の維持と信頼を得ることが可能になりました。
地域ぐるみで守りぬく
三瓶そばを守るために三瓶地区では多品種を育てることができません。
そばは非常に交配しやすい植物で近くで多品種が育てられるとすぐに負けてしまいます。昆虫などの交雑のリスクを減らすには、最低でも2kmは離れていないといけないようです。そのために三瓶周辺では多品種の蕎麦の栽培に関して厳しい管理がなされています。

蕎麦の特徴
国立公園・三瓶山麓は、昼夜の寒暖差の大きい気候と水はけの良い火山灰の土壌、豊富なわき水を生かし、江戸時代からそばが栽培されてきました。野生の種に近い蕎麦と言われています。小粒で味香りが強く、「こだわりのそば屋」が欲しがる品種です。そばの甘みと香りが特徴とされます。俳人 河東碧梧桐 多根地区(三瓶山北側の地区)の旧家森山家で三瓶そばを食べ、その美味さに驚き、信州戸隠のそば以上だと褒め称えたと言われている。(そばの旅人 福原 耕著 文芸社 2017)全国の代表的な在来種として長野戸隠在来、長野奈川在来、福井丸岡在来、新潟小そば、島根横田小そばの5つとされる。作者は「横田小そばを産する出雲国の隣、石見国には「三瓶そば」がある。小粒で粘りがある」と伝えられると書き加えている。明治時代に発行された蕎麦志には石見国産出多し、而して安濃郡三瓶山の産を佳トス」とあり全国17の産地の中の一つとして「三瓶のモノが良い」と明記されている昭和初期まで重要産物として生産が行われていた。最近ではそば鑑定士50人が選ぶ美味しいそば産地大賞で4位に選出、おいしいそば乾麺大賞2021では2位に選出されました。

打ち方
地域の女性を中心に蕎麦打ちの文化が受け継がれていています。昔は各家庭で石臼で挽いて粉にして使っていました。現在のように優れた道具があるわけではなく各家庭でそれぞれの蕎麦粉となり各家々のそばの味が引き継がれていきました。そばは各家庭の特別な日に作られ食べられました。年越しや節分、祭りなど人があつまる時にはそばを打ちみんなで食べてきました。蕎麦がきもよく食べらていました。おやつや手軽なおかずとして食べられ、湯呑みや茶碗に蕎麦粉を入れ味噌汁や番茶で混ぜ食べていました。そばは身近な存在でした。
志学では少し前までどこの家にもそばを打つ陶器製の鉢がありました。麺棒は、現在主流の細いものと違い太い麺棒1本で初めから終わりまで仕上げます。切り方も地元の鍛冶屋で作られたものを使い小間板と呼ばれる当て木も使わず「てごま」と呼ばれる切り方で野菜などを切るように包丁と手を使い仕上げていきます。
食べ方
昔、ここ志学では、基本そばは「釜揚げ」で食べていました。鍋で茹でたそばを茹で汁と共に、そのまま丼に入れ出汁と薬味で食べます。トロッとしたそば湯に浮かんだそばに直接つゆをかけ好みの濃さに調整しながら食べます。栄養たっぷりの上、そばのいい香りが際立ちます。このそばは、のびやすいこともあり、出来上がったらすぐに食べないと美味しい時を逃してしまします。手元に届いたら、すぐに食べましょう。それがそばを出された時の礼儀です。昔は製粉技術も今のように良いものではなく、蕎麦ガラも一緒に引き込み100%蕎麦粉で作っていたため、つながりにくく、切れやすいこともあり短く、太いそばが主流で「ドジョウそば」なんて呼ばれ呼ばれ親しまれていました。ここら辺では蕎麦は噛んで味わうもので、そのため少し太めが好きという人が多い地域です。
薬味
かつて志学でたくさん作られ評判もよかった「三瓶在来のわさび」とのり、かつおを乗せて食べるのが基本スタイルです。
出汁
少し薄めのさっぱりした出汁が使われていました。この出汁はお雑煮にも使かわれ、薬味もワサビを抜いた海苔と鰹のみとシンプルな食べ方です。
器
椀が使われ、外は黒内側は赤い椀。冷たい蕎麦も熱いそばもこの椀に入れ汁をかけて食べます。蕎麦専用のワンがあるのも面白いところです。
三瓶蕎麦といえば
初秋の朝晩の冷え込みがある三瓶高原の寒暖差がある気候と火山灰土がそばに適していたこともあり、香りが良く甘いそばになると言われています。
美味しく食べて、綺麗になれる。
理由その1 ・そばは美容に良いと言われますがその主な成分と言われる「ルチン」は、そばの実よりも、殻に多く含まれています。ルチンとはポリフェノールの一種で抗酸化作用があり、アンチエイジングの効果や動脈硬化・高血圧の予防など血流を良くする効果が期待できます。また、ルチンはビタミンCの吸収を良くしてくれるので美容効果も期待できるのです。これも殻まで一緒にひく「ひきぐるみそば」と呼ばれる外側の皮も一緒に引く三瓶そばならではなのです。
理由その2 ・三瓶そばの薬味は三瓶わさび。大正時代には全国有数の生産量を誇っており品質の良さから高値で取引されていました。現在も少量ですが高品質のワサビが生産されています。わさびに含まれる「スルフィニル」と言う成分はわたしたち人間の細胞に備わっている抗酸化物質を活性化してくれる働きがあります。 血液サラサラ効果や美白効果 ・デトックス効果も期待でき、体や肌の老化を防ぐと言われています。
理由その3 ・三瓶の水。調理全般において使用される水も美容成分として注目を集めるシリカの含有量が多いのが特徴。サヒメの泉と呼ばれる水も売り出されるほど含有量が多いのです。
理由その4 ・忘れてはいけないのが三瓶温泉。蕎麦が先か温泉が先か三瓶にきたら美容効果の高い温泉も忘れずに入って帰ってください。